「え、私の応援にそんな効果があるとは……なんか照れるね。あ!今の安岐くんのセリフもネタとして使える!」

 相変わらずの天の反応に葵はクスッと笑った。


「こんなところでイチャついてんじゃねぇよ。邪魔」

 そこに入ってくる響の声。天はビクッとしたが、葵が隣で天より少し前に出る。それは天を庇うような仕草で、またしても天はドキッとしてしまう。

 そんな葵の行動をみて、響はニヤッと笑う。

「引き分けだったな、今回は」

「そうですね」


 響の言葉に葵は頷く。響の余裕な態度に葵は思うことがあったが、そこで天が大声を出した。

「あ、あの!霞ヶ浦さんもお疲れ様でした。安岐くんとの試合、すごかっです」

 天は素直に感想をのべ、その行動に響はキョトンとしつつ次には大笑いした。突然の笑いに天は困惑する。

「あの……私、なにか?」

「おい、安岐。おまえのお気に入り、面白いな」

「赤音さんは、素直な人なんです」

「へぇー……赤音さん、惜しかったな?俺の彼女になれなくて」

「へ?いや、あの?」

 響の言葉は揶揄うような口調で、一人慌てる天。すかさず葵が響に釘を刺す。

「今後一切そうなることはありませんよ」

「負けねぇ宣言か?」

「さあ?どうでしょう」

 試合が終わっても二人はバチバチと火花を散らす。
 そんな二人に挟まれて天はただただ困惑するばかりだが、二人の間に流れる空気が変わったことに気づくと二人の顔を交互に見やった。葵も響も楽しそうな様子で、天はああこれがこの2人の関係なんだなと妙に納得する。

「じゃあ、俺はそろそろ行くぜ。またな、安岐のお気に入りちゃん」

 響が手を軽くあげてその場を去ると、葵は天の方を向いた。

「赤音さん、今日は本当にありがとうございました。あなたの応援のおかげで頑張れました」