土曜日。(そら)はリッカやエマととある場所にきていた。


「うわっ、人多い。これ全部出場者?」

「一般の客もいるだろうけど、ほとんどがそうなんだろうね」

「気をつけてね二人とも。お客さんの中に変なOBとか先輩とか、はたまた他校生とか絡んでくる人いるからね!一人にならないように」

 リッカとエマになぜか天はそう注意を促す。二人はそれをおかしそうに笑って返した。

「天、心配しすぎだよ」

「そうそう、さすがにこんな人の多いところで変な事する人いないって」

「でも、二人とも可愛いから……実際私でさえ絡まれたからね。油断できないよ」

 天がそう言うとリッカとエマは顔を見合わせる。そして、詰め寄った。

「あんた、いつ絡まれてたの?この前話してた安岐葵の試合見にきた時?」

「そ、そうです」

「あー、言ってたねそういえば。それで安岐葵に助けられたって」

「そ、その話はもういいんじゃないかな!?」

 墓穴を掘ったと天が慌ててそう言うと、リッカはニヤリと笑ってさらに詰め寄った。

「で?そんな思いしてまでも、あんたはまたこうして彼の試合を見にきたわけね」

 リッカが言うとエマも頷く。そう、3人は剣道の全国大会の予選試合を見にきていたのだ。

 天が葵から誘われて、その際「一人ではこないように」と注意された。天も前回のミスを二度としないようにと、今回は友人二人を誘ったのである。誘う時に二人がニヤニヤしていたのは言うまでもない。

「天って、普段も結構安岐葵の練習見に行ってたりするの?」

「ううん、そんなしょっちゅうは行ってない。小説書きたいし」

「あんた本当ブレないわね」