そんな明らかに嘘をついている様子の天に2人はやれやれと呟いた。

「天、あんたはね、嘘がつけないタイプなんだから」

「そうそう。バレないと思ってるの?うちらが気づかないとでも?」

 天は2人の追求に渋々白状した。葵との出会いから今までのことを。


「あんた……それって、リアル恋愛小説じゃん」

「そうでしょ?やっぱりこれをそのまま書いたら読者もキュンだよね?」

「あほか!創作じゃなくてリアル恋愛に発展させなさいって言ってんの!」

 リッカの剣幕に天は情けない声を上げ、エマに助け舟を出すよう話題を振った。

「そんな雰囲気ないもん。ね、エマちゃんは安岐くんはどんな人だと思う?みんなに分け隔てないキュン提供者だと思うよね?ね?」

「え?天に気がある人でしょ?」


「は!?違うし!安岐くんはナチュラルに優しいから、こんな私にもよくしてくれているだけ!」

 恥ずかしいとかではなく、本当にわかってないんだなと天の反応を見てリッカとエマは肩をすくめた。

「あんたはやっぱりまともな恋愛もするべきよ。今後の創作のためにも」

「作品にもいい影響はでるんじゃない?芸術は一流に触れてみて養われるっていうし」

「それはそうだけど……」

 天は口ごもる。自分が誰かに恋してきゃっきゃっうふふしてる姿は想像がつかない。あんなに物語では恋愛を語れるのに、リアルだと無力。
 そんな天の様子を見て二人は元気づけるように、肩を叩いた。

「ま、無理はしなさんな」

「そそ、恋愛にしろ何事も楽しまないと」

「うん……だよ、ね。そうだよ。やっぱり楽しむためにはたくさんのキュンを手に入れないと!」

 天が通常通りになり、二人は安堵して笑った。

「うんうん、それでこそ天だね」

「そうそう!ところで……あんた安岐葵に小説のことも、嫌がられなかったんでしょ?」