「な、そんなことないよ!いつもキュンのかっこいいしか載せてないよ!」

「やっぱり、そーいうことでしたか」

 葵の言葉に天はしまったと内心焦っていた。そしてそのまま葵に攻められる形になる。

「前にもキュンとかネタとか言っていたのでもしやと思っていましたが、本当に作品に使われてるとは思いませんでした」

「いや、あのね、これはね?違うの。安岐くんとのやり取りがキュンすぎてみんなにお裾分けしたかったというか……」

 天はしどろもどろになりながら必死に言い訳をしようとする。そんな天に葵は優しく言った。

「大丈夫ですよ、赤音さん」

 その言葉に天はホッと胸を撫で下ろしたが次の一言で固まることになる。

「俺、どんな内容でも引きませんから」

 そんな言葉に天は思わず葵を見た。彼は変わらず微笑んでいる。しかしそれは逆に恐怖心を煽るものとなる。

「え……あ、安岐くん?」

「だから安心してください」

「ちがうの!健全なの!私はピュアなラブしか書いてないの!」


 焦る天を見て葵はくくっと笑う。その様子に天はこれは怒ったりはしていないと安心しつつ、バレたことに複雑な気持ちでいた。

「ピュアなラブですか?」

「安岐くん!揶揄ってるでしょ!」

「いえ、そんなつもりはありませんよ」

 そんな葵の言葉に嘘つけと心の中で思うが口には出さないでおく。そして天はある疑問を彼にぶつけた。

「見たいとか言わないんだね、安岐くん」

「見せてくれるんですか?」

「絶対イヤ」

「でしょう?赤音さんの嫌がることはしませんよ」


 微笑む葵に天はまたしてもキュンする。そして今度は開き直り堂々とメモをとることにした。その様子に隣で葵は嬉しそうに微笑む。

「ん?なんで安岐くんご機嫌なの?」