【おはようございます。この三日間はGW特別練習メニューで朝から夕方までずっと部活です。見学はできますので、学校にくる用事がありましたら、是非声をかけてください】

 天は葵からの文を見て思う。メッセージでも敬語なんだなと。とりあえずOKのスタンプを送って返信した。GWは課題も少ないので、小説のネタのために学校に行く予定はあった。
 葵の部活姿を見るのは好きなので、この申し出はありがたい。天はワクワクしながら支度を始めたのだった。

 

 天が学校に着く頃には1時を過ぎていた。校内の部活動を観察しつつ、ぶらぶら歩き、立ち止まってはメモを開く。頭に浮かんだ文を組み立て打ち込む作業は意外と時間が経つのが早い。気がつけば、もう3時になろうとしていた。

 やば、安岐くんの部活姿も観察しなきゃと天は思い足早に剣道場へ向かう。今日は珍しく、見学者が多くいた。よくみればクラスメイトの女子やら他クラスの女子、学年の違う女子。女子ばかりだなと天は道場の入口の後ろの方に立ち周りを見渡す。そしてそこから中を覗いた。
 すると、葵の姿を見つけた。彼は剣道場の隅で正座をしながら部員の練習を眺めていたようだ。防具をつけていないから休憩中なのかもしれないと思ったが、声をかける気にはならない。

 何故なら、今この場にいるほとんどの女子の視線が葵に注がれているからだ。天はそんな中、堂々とできるほどメンタルは強くない。

「あー、安岐先輩今日もかっこかわいい」

「早く試合しないかなぁ」



 後輩なのだろう女子の会話が天の耳に入る。かっこいいはわかる。だが可愛い?まあ背が低いから可愛いのかもしれない。女子の平均と同じ程度の身長で目も割と大きい葵は、可愛いと言われることも少なくはないのだろう。