その一言で読者からの労いのコメントやさっそく読んでくれた感想のコメントで溢れる。

【おめでとう!ずっと楽しみにしてたよ】

【完結まで見守っててよかった】

【本当にいいラストだったね】

 そのコメントを一つ一つ確認していく。そのほとんどが肯定的なものばかりで、天は嬉しくなった。だが、少し批判的なものも混じっていて……でもそれが当たり前の反応だと受け止める。

「嬉しいけど、まだまだだな私」

 そう呟いた天。しかしその顔は達成感で晴れやかだった。


 ーーこれで安岐くんのことに集中できる……。

 天は嬉しくてたまらなかった。ようやく、葵を解禁できる喜び。何を話そうか、いつ会おうか。久々に部活を見に行く?剣道をしてるかっこいい姿もみたいな。二人で遊びに行きたいな。カフェのパンケーキを食べたいな……など、葵への思いで溢れる。

 ふと日付を確認すると、ちょうどバレンタインが近い。天はこれだ!と、あることを思いついた。



 次の日。学校が終わってから天はリッカの家でバレンタインチョコ作りにチャレンジしていた。エマも一緒である。リッカの教えのもと作ってはみるものの、なぜかガトーショコラがうまくいかない。

「ううっ……もうやめたい」

「あんた、まだ完成してないわよ?」

「だって、もう3回目!黒コゲのダークマタ生成3回目だよ!もう、私が黒コゲになりそう心が!」

「そんな暇ないでしょうが」

 リッカが冷ややかな目で天を叱りつける。そんなやりとりにエマは笑い天の手元のダークマタを見て言った。

「天、それ頑張ってるけど誰にあげるんだっけ?」

「もちろん安岐くんだよ!本命チョコってやつ?」