「小説の完結まで、俺は一緒にいない方がいいですか?キュンさせてしまうと執筆に遅れがでませんか?」

「ぐっ……それ、は嫌だ。キャンは欲しいです」

「それなら安心です。赤音さんと一緒にいられないのは寂しいですから」

 そう言って葵は穏やかに笑った。その笑みがやっぱりかっこよくて、天は何も言えなくなる。


 駅につき、天はお礼を言って葵と別れる。天が少し進むとその背に葵が声をかけた。

「赤音さん。頑張ってください」

「うんっ!やったるでぇ」

 葵の真似をして関西弁で返す天。葵は微笑み、天のやる気も跳ね上がる。

 ーーさあ、見てろよ、読者共。最高にキュンの物語、拝ませてやる。

 天は楽しそうに、笑った。