冬休みに入りあっという間に年末。(そら)はどこかに行く予定もなく、自室で寛ぐ。葵は今回は祖父母に会いに家族で大阪に帰省しているらしい。

 冬休みというのもあるが葵に会えないのは少し寂しい。天はそう感じる自分に少し驚きつつ、それだけ彼のことが好きになったんだなと実感する。

「やっぱりクリスマスに告白すればよかったかも……」

 二人でイルミネーションを見に行って以来、会ってはいない。もともとクラスも部活も違う二人は学校で会うこともあまりないが、やはり会えないというのは寂しいもので……

「安岐くんに会いたいなぁ」

 そんなことを考えていた。しかし会えないものは仕方がない。天は気持ちを切り替えて、会えない寂しさを小説を書くことで昇華することにした。

 スマホのメモに物語を打ち込む。やりながら、葵からのキュンを独り占めしたいという気持ちと、恋愛小説を書き上げるという執念の狭間で思い悩む。

「ああ……もう!安岐くんのことばっかり!」


 天は頭をガシガシとかいて悶える。しかし、その口元は緩んでいた。これが幸せな悩みというやつかと実感しつつ、書き途中の小説に意識を向ける。ここまでついてきてくれた読者には最高のキュンを提供したい。

 心の中で葵に謝罪しつつ。でも好きなんだよ!と言い訳しつつ。葵とのやりとりを書き上げることにした。自分の体験を活かして書くからスラスラと文章になる。そのままいい調子だったが、今度はラストに悩む天。

「やっぱり、ハッピーエンドがいいよね」

 幸せな気持ちになるのが一番だ。それは恋愛小説の王道お決まりパターンに当てはまる。では、どんな結末が幸せなのか……天は頭を悩ませる。

 やっぱり単純に告白の流れがいい。しかしその告白をどうしようと考えた。