二人はその後ゲーセンに行ったり、クリスマスグッズを販売する店を見て周る。楽しい時間はあっという間に過ぎて、辺りは暗くなってきた。駅前のメイン広場にあるイルミネーションを見るために天が歩くと、響は立ち止まる。

「なあ天」

「なに?」

「おまえ、安岐が好きなら告れよ。あいつのためにもおまえのためにもだ」

「え……」

「おまえの好きは友達に感じる好きじゃねぇんだろ?安岐のことが本当に好きならちゃんと気持ち伝えろ」

 響の言葉に天は戸惑う。しかし響は続ける。

「俺はな、おまえが幸せになるんなら相手は誰でもいいんだよ。でもな、安岐を幸せにできるやつはおまえだけだと俺は思う。つか、この俺を選ばずに安岐を選んでるんだから、責任とって早くくっつけ」

 最後はいつも通りの横暴な響らしい言葉に天は少し笑ってしまった。だから恥ずかしい気持ちもあるが、素直に頷く。響は満足そうな顔をした。

「それでいいんだよ。じゃあな」

「あれ?イルミ見ないの?」

「俺が行ったらイルミが霞むだろ?」

 かっこつけた響の返しに天は呆れながら笑い、手を振って立ち去る。響は去っていく天が見えなくなるまで見つめて、ふっと悲しげに笑った。



 響と別れた後、天は駅前のメイン広場にきていた。暗がりに輝くイルミネーションはうっとりするほど綺麗で、ずっと見てられると天は思った。
 周りは家族やらカップルで幸せそうにしている。それを見て、ああ、こんなところで一人なの自分だけでは?と天は気づいた。

「一人は寂しいなぁ……」

 葵と見たかったな、と天はイルミを見ながら呟く。その時、天のスマホが着信を告げた。見てみると液晶に葵の名前がある。天はドキッとしつつ、嬉しさで顔がにやけてしまった。

「もしもし?安岐くんどうしたの?」