「っ……それは、大丈夫」

 天の返しに響は眉をぴくっとさせ、見つめる。天は一呼吸して響に自分が得た想いを告げた。

「わかったよ。恋……私、安岐くんが好きって気づいた」

 天の目は真剣で、響は驚きつつ笑い
、以前天に伝えた言葉をあえて使う。

「……思い知ったかよ?」

 その言葉の続きは響が天に宣言したもの。“キュンやときめきで騒いでるのじゃ足りないくらいの好きって気持ち”のこと。天は覚えていて、大きく頷く。

「本当に足りない。好きって溢れてくる」

 天は笑顔でそう答えた。そんな天を響は愛しそうに見つめる。

「ようやくかよ、ばーか」

「うぐっ、返す言葉もございません」

「ま、自覚しただけたいしたもんだな。告ってねぇのも、おまえが告られてねぇのも意味わかんねーけど」

「それはっ、まだその……今の居心地のいい関係を壊したくないとゆーか」

「なら、もう手遅れだな。時期におまえ安岐に告られんぞ?」

「え?なんで……」

 響の確信めいた言葉に天は驚く。しかし響は表情を変えることなく料理を食べながら続ける。

「んなのおまえら見てりゃわかる。特に安岐。噛み付くような目つきで凄んできやがる。ま、俺としては早くしてくれって感じだけど」

「……そう、なんだ」

「ああ。でもまあ、全国大会の時の俺の率直な感想だし。安岐の気が変わってたら告られねぇかもな。寧ろ好きでもないかも」

「え!うそ!?」


「嘘」

「なにそれ!」

「知るか。おまえらにしかわかんねぇことだろ。……むしゃくしゃしてきたな。おい、この後暇だろ付き合え」

 響はそう言うと天の返事も聞かずに予定を決める。響の強引さは天も承知しているし、イルミのライトアップの暗くなる時間までまだかかる。天は響の提案を受け入れた。