やっと止まってくれたと息を整える天。そして改めて周りを見渡す。前にもきたことがあるカフェの前。天は空腹もあり、響を見る。

「響さん今日もお礼ある?」

「あ?まあ、そりゃお礼くらいするよ」

「じゃあ、今日はカフェランチで。あざーす」

「は?何勝手に決めてんだ。おい、たくっ……」

 天の強引さに響が折れて二人はカフェへ入った。



「で、最近どーよ?」


 注文した後に響が天に尋ねる。天は言葉通り素直に文化祭やら修学旅行やらテストやら誕生日やらの最近の話題を話す。そのことに響は眉根を寄せて呆れたような顔をした。

「んなこたぁいいんだよ」

「え、最近のホットな話題なのに?」

「別にいいよそんなん」

「なぜ?せっかくのトレンドなのに!?」

「どーでもいいって言ってんだよ、バカか」

 響は鼻で笑い、自分が求める話題へ誘導する。

「安岐とはどーだよ?」

「え、安岐くん?あ、ああ……」

 天はあからさまに動揺し目を逸らす。すかさず響が「おい、誤魔化すな」と天にった。

「その様子じゃあ、なんか進展あったみたいだな」

「んぐっ、なぜ……」

「おまえの態度みりゃ一発」

 響はニヤリと笑い、ちょうど注文したものが届けられると店員ににこやかな笑みをみせた。

「王子スマイルめ」

「俺の笑顔で幸せになれるんだ。感謝してほしいくらいだな」

 二人は料理を食べながら、会話を続ける。響の取り調べタイムのような感じになったが、天には断る術がなかった。

「で?なんかあったのか?チューでもした?」

「そ、そんなことしてない」

「じゃあハグか?」

「それは、いやあれは元気づけようとしただけだから恋とかは関係ないかな」

「なんだよそれ」

 響は呆れつつ、天に続けた。

「まさか、おまえまだ恋とかわかんないとかぬかしてんじゃねぇよな?」