間髪入れずに伊丹がトドメを指す。天は嘆き、頭を抱えた。葵ともクリスマスは無理な現状。イルミを見てエンジョイしたかった!あの場の空気を味わいたい!と切に願うが、リッカもエマも伊丹もなびかない。それはそうだ、それぞれ予定がある。

「ま、諦めなさい。それじゃあバイト行くからじゃあね」

「私も急いで撮影準備するから帰るねー」

「俺も部活行くわ。またな」

 手を振り3人は教室を出た。天は薄情な奴らと心の中で悪態をついたが、仕方ないと諦めた。


 とりあえず小説のネタにもなるので、一人でクリスマスイルミをみに行くことに天は決めた。駅周りには今日の為にクリスマス用の装飾で飾られ、カップルやら家族連れで賑わっていた。

「素敵〜クリスマスの雰囲気」

 天は鼻歌混じりにイルミネーションをスマホのカメラを起動して撮影する。通行人も目を輝かせながら楽しそうにしていて、天も自然と笑顔になった。一人で楽しんでるがクリスマス独特の空気感に浸れて天は満足気に写真を撮っていく。そんな時……何だか人だかりが目に入った。

 なんか、前にも似たようなパターンが……と天が考えているとその人だかりの中心にいた人物と目が合う。

「お!天!いいところに!ごめんね、みんな俺約束があるから。またね」

 そう、そこにいたのは(ひびき)だった。夏の時と同じように女の子に囲まれていた響。天の方へくると「走れ!」とまたしても無理やり巻き込まれてしまう。

「ちょっ、響さん……無理、速すぎっ」

 天は息も切れ切れに言うが、響は気にしない様子で天の手を取り引っ張って行く。

「だらしねえな。あれくらいじゃなきゃ追いつかれるだろ」

「そ……それはわかってるけどっ!ペース配分ってのがあるんだよ!」

「ああ、ごめん」