「やっと終わったー!解放された!」

 (そら)は珍しく浮かれていた。本日は二学期の終業式。クリスマスイヴである。クラスの人もクリスマスの話題を出して楽しげだ。天も例外ではない。

「ねぇねぇ!この後どうする?午前終わりだからお昼何食べてく?」

 リッカとエマにニコニコと話しかける天。しかし二人の反応はイマイチで、リッカもエマは「あー」と面倒くさそうに天を見つめた。それに瞬時に反応する天。

「え、なに!?二人とも反応やばい!冷たくない?」

「いや違うのよ天。前から言ってたけど私今日バイトなのよ」

「私も今日は絶好の写真撮影日和だからパス」

 リッカとエマに断られた天はこの世の終わりみたいな顔をして、「そんなぁ」と声を漏らす。

「なんで!?普通友達よりバイトを優先させる!?」

 天が言うとリッカはため息を吐いて答えた。


「わかってないわねぇー天ったら。今日はシフトに入りたがらない人が多いの。だから入ればいつもより時給増えるの。稼ぎ時なのよ!」

 リッカの言葉にエマも頷く。

「私も今日はクリスマスイヴで浮かれる輩を背景にクリスマスイルミを撮影するんだ。テーマはイルミに群がる若人たち」

 冗談なのかガチなのかわからないエマの返答に若干の引きつつ天は視界に入った伊丹に声をかけた。

「ねえ、いたみんもクリスマス浮かれるメンバーだよね?こっち側でしょ?」

「ん?俺は今日も普通に部活だぞ」

「ぐぬうううう!なんっで……みんな、生誕祭なのにっ」

 伊丹にも裏切られた天は一人浮かれた己を恥じる。しかし諦めきれない思いもあった。

「したい!私もクリスマス浮かれる側でイルミとか見てキャッキャッしたい!」

「でも安岐も部活だぞ?」