修学旅行を終え、季節は秋から冬に変わる。12月の嫌なイベントトップたる期末テストを無事に乗り越えた(そら)。疲れ切った顔とやり切った顔を交互に浮かべていた。
 そして、今は昼休み。リッカやエマと弁当を広げて食べながら、お互い労いの言葉をかけていく。

「お疲れー。これで後は冬休みを待つのみね」

「テストが終わるとあっという間にクリスマスと冬休みがくるって感じ」

 リッカとエマがそう言えば天も頷く。テスト勉強中に封じていた小説を書くのをさっさと始めたいなと頭で考えていると、二人からプレゼントを渡された。

「はい、天」

「誕生日おめでとう」


「ええー、二人ともありがとうー。テスト最終日に誕生日とか地獄って思ってたけど、全て解放されたからかめちゃくちゃ嬉しい」

「踊るな」

 天が喜びのあまり踊り出しそうになるのをリッカが止めてると、伊丹も話に入ってきた。

「なんだ?赤音今日誕生日なのか?おめでとさん。んじゃ、これは俺から」

 そう言い伊丹は今し方購買で買ったばかりのチョコなどのお菓子を天に渡す。天はありがたやーと嬉しそうにお菓子を受け取った。

「いたみんもありがとう!本当にいたみんはイイヤツだ!」

「いいっていいって。知らなかったから俺用に買った菓子で悪いけどな。それよか、安岐はこのこと知ってんのか?」

「え、たぶん知らないよ?教えてないし」

 天の言葉にリッカとエマと伊丹の3人は目を丸くして驚く。リッカに至っては呆れていた。

「あんた、ほんとそういうとこ抜けてんね」

「まどろっこしいことするねー」

 エマも何故か呆れている。天はむっとした表情で言い返す。

「だって……自分から言うとなんか催促してるみたいだし」

「でも安岐のやつ、自分だけ知らなかったってなったら落ち込むんじゃないか?」