秋なのにまだ暑い日差しの中、そうここは沖縄である。
 (そら)達は修学旅行にきていた。高2の秋のビッグイベントともいえるこれは、旅行自体はもちろん、夜など自由時間に男女がいい感じに盛り上がるのも恒例である。

 天、リッカ、エマの3人ももちろん、そのビッグイベントに胸を踊らせていた。しかし、この旅行はただの修学旅行ではない。
 そう、沖縄といえば……

「はいはーい!みんな注目ー!」

 リッカが手を上げて言うので、他の生徒の視線が一斉に集まる。

「今回の修学旅行のメインイベント!それは……」

 クラス全員は顔を見合わせる。そして声を揃えて叫んだ。

「海だー!」

 目の前に広がるのは大きな海。今日は3泊4日の修学旅行の3日目にあたる。一日海を満喫する日。初日と2日目はクラス別の行動だったが今日は各々自由行動だ。天は不審者のように身を隠しつつ周りを見回している。その理由は簡単だった。

「天、あんたまだそんな悪あがきしてんの?」

「だってぇ……」

「あ、あそこに安岐葵」

「ぶべしっっ!」

 エマの言葉に天は思いっきり海の中へ潜る。リッカはギョッとしていた。逆にエマは淡々と「嘘だよ」と呟く。水中から顔を出し、天はエマを恨めしそうに睨むが効果はない。

「あんた、そんなんでよく恋したとかいえるわね」

「う……だって……」

「昨日までと違って今日は顔を合わすかもしれないんだからシャキッとしなさいよ」

「……うん」

 天は海から上がってリッカとエマと共に浜辺へ行く。3人はそのままビーチパラソルの下でレジャーシートを広げて休憩することにした。

「それにしても、意識しすぎてまた顔を見れないなんて、天は可愛いね」

「ただのヘタレよ」

「酷いリッカ!エマちゃーんリッカが虐めるううう」