クラスに戻っても、(そら)はずっと葵のことを考えてしまう。記憶の中も含めて葵の全てがキラキラしてみえてしまう。キュンやときめきも今までと変わらないのに、なぜか胸が苦しくなるまでがセットで、わけがわからない。

「あんた、またそんな顔してどうしたのよ?」

「天何かあったの?」

「赤音の顰めっ面は珍しいよな。腹でも痛いのか?」

伊丹(いたみ)は黙って」

 エマに注意され伊丹は素直に返事をする。二人のやり取りの後、リッカが天の目の前の席に座り、天の目を見て話す。

「あんたが、そんなになるってことは安岐葵が原因?」

「鋭いなリッカは」

 見抜かれた天は思い切って3人に自分の気持ちを話すことにした。悩み、瑞穂に言われたこと、葵に対してのこと。天は自分が何に悩んで、どうしたいのか、それがまだわからなかった。

「何が不安なの?私はあんたを応援するわよ」

「……うー……わかんないよぅ……」

 リッカの言葉にも、天は素直に返事ができない。そしてまた悩み出すのだ。そんな天をエマは優しく撫でる。

「天は恋したんだね」

「これが恋なのかわからないよ」

「でもドキドキするし苦しいでしょ?」

「……うん……」

 エマの言葉に小さく返事をする天に、リッカが声をかける 。

「体が反応してんだから、認めなさい」

「その言い方はアウトな気がするけどなぁ」

「伊丹ぃ?」

「ごめんって。まあ、でも……赤音が安岐のこと特別なんだろなってのは前からわかってたしな」

 伊丹の言葉に天は目を丸くして驚く。そんなにあからさまな態度だったのかと。

「いたみん、私そんな変なことしてた?」

「いんや?安岐と話す時の赤音はよく笑ってたから。そう俺は思ってただけ。安岐も楽しそうだったしな」