「はぁ……もう、わかんないや」

 ぐるぐる悩みすぎて天は大きなため息を吐く。そのタイミングでエマから通知がきた。確認すると写真が送られてきてーー……。

「っ!?これ、こないだの……」

 その写真は剣舞の時の葵との写真。跪く葵に手を取られる天が写っているもの。この写真だけでもやはり葵はかっこよく見えるなと思う天。それに比べ、自分はやっぱり何にも映えないなと改めて思った。

 せめて、可愛らしい女の子なら、お似合いになったんだろうなとそんな風に考えて天はもう寝ることにした。


 翌日、学校内は文化祭の片付けも終わり日常が戻りつつある。そんな中、葵のクラスの前を通った天はその大騒ぎに直面した。

「安岐ちゃん、こないだの剣舞かっこよかったよー」

「また見せてね」

 女子達の声援が葵に飛ぶ。葵は笑顔で答えていた。

「また機会があれば」

「絶対だよー、せっかく同クラなんだし。どんどん交流してこ」

「いいねぇ、とりま文化祭打ち上げすんべ」

 いつのまにか全体で盛り上がっている葵のクラス。そのやりとりが天には羨ましく思える。そもそも葵との接点がなかなかないよなと天は思う。クラスが違えば話すきっかけもないし、運動部と文化部だからその点でも合わない。天はそんなことを考えて見過ぎでいた。

「あ、赤音ちゃんだ」

 女子の一人が天の姿を見て声をかける。その声に反応して葵もこちらをみた。

「っ!」

 2人の目が合うと葵は少し嬉しそうに笑った。その笑顔にドキッとする天だがすぐに視線を逸らして、廊下を歩く。

「あの子誰?」

「あれだよ、あれ。アカネゾラ警報の」

「あー、何知り合い?」

「去年同クラ。背が高いから目立つんだよねぇ」

「そういえば、安岐ちゃんよく話してるよね。剣舞の時もなんか手繋いでたし」