「あ、そのセリフいい。恋愛漫画とかでよくあるパターンのやつ」

「本当どうしようもないな、おまえ」

 相変わらずの天の反応に響は呆れながらも笑う。その目は愛しそうで、不覚にも天はドキッとし、頬を赤くした。
 その反応に、響も気をよくする。

「お?脈なしってわけでもなさそうじゃん?」


「っ……これは、その……そりゃキュンとくるよ!告白なんて初めてだし……でも、本当に私恋愛はわからないから」

「だから、お試しで付き合ってみようぜ。それで俺がおまえを惚れさせれば問題ないだろ?」

 響の押しに天はたじろぐが、恋愛を知らないまま流されるのは嫌だと断る。そんな天を見て、響はまた笑う。

「じゃあさ……全国大会で安岐に勝ったら、俺の彼女になってよ」

「……え?」

「あいつ以上にときめかせてやるし、キュンキュンさせまくる。そんで、俺に惚れさせてやる。それまで待ってろ」

 自信たっぷりな響に天は戸惑うばかり。そして何故か引き合いに出された葵の名前に首を傾げた。

「なんで安岐くんが出てくるの?」

「……おまえ、本当に鈍いんだな。まぁ、いいや。その内おまえも思い知るだろうし」

「な、なにを?」

 動揺する天に響はニヤリと笑う。その目は自信満々で、天を真っ直ぐ射抜いて離さない。

「キュンやときめきで騒いでるのじゃ足りないくらいの好きって気持ちをだよ」

 響の言葉に天は更に困惑した。そんな感情持つはずがない。……自分なんかが、持てるはずがないと少し眉を下げる。天の雰囲気が変わったのを見て、響はそれ以上詰めはしなかった。



 響に駅まで送ってもらい、天はお礼を言う。しかし、気まずくて目が合わせられない。それを見て響はため息をつき、天の顎をぎゅっと掴む。途端に変な顔になる天。

「ちょ、ちょっと!」

「ははっ!やっぱりおもしれーやつ」