「あ、うん。じゃなくて!」

「お互い接点ないなら作ればいい。だからデートなんだよ。おまえは俺にときめいとけ」

 そんな風に自信満々な響に天は為す術もなく。強引に響に連れ回されるハメになった。

「霞ヶ浦さん」

「響」

「……響さん、ここは?ゲーセン?なんで?」

「デートの定番だろ?ほら、行くぞ」

 響についていく天。あまり行くことのないゲーセンにキョロキョロと周りを見回す。その様子を察して響は天をリードしてお菓子のクレーンやら、シューティングゲームなど次々とクリアしていく。

「すごい」

 思わず天は呟く。響は満足げに笑う。そんな笑顔を見て、天もなんだか楽しくなって自然と笑っていた。

「さて、次はどこ行く?」

「……次は、私が決めていい?」

 天の言葉に響は頷く。天は少し考える素振りをしてからスマホを取り出して操作する。そして画面を響に見せると「ここ」と言う。そこには景色が綺麗な丘の公園が表示されていた。響は首を傾げつつ了承した。

「ひゃー!やっぱり!ここからの夕焼け最高なんだよ」

 誰もいない公園。天は目の前に広がる鮮やかな夕日を見て感動する。響もその景色に目を奪われた。夕日の赤色が天と重なり、その輪郭が輝いて見える。

 響はそんな天を見て、どうしようもなく惹かれていく。面白いからと思っていただけなのに、気がつけば言葉にしていた。

「なあ……俺じゃダメか?」

「へ?何が?」

「おまえが好きだ」

 突然の告白に天は固まる。響の真っ直ぐな眼差しに思わず目を逸らした。しかし、すぐに向き直る。

「なぜ?急すぎ!そんな、今日だけで?!」

 こんな時でも天は天だった。告白されてるのに何故か笑いが起きてしまいそうな返し。それに対して響は鼻で笑う。

「ばーか。恋に落ちるなんて一瞬なんだよ」