アイは謝り、慌てて手を差し伸べる。尻餅をついたままのショートカットの少女は、顔を上げてアイの存在を確認すると、彼女を睨み付けて一人で立ち上がる。そして大きな足音を立てながら歩いて行った。

「初音ちゃん……」

その後ろ姿を見ながらアイは呟く。胸の中が何故か痛みを訴えた。



「さあ、始まりました!Fステ!今夜勝負をするアーティストはこの方たちです!」

マイクを持った司会者がそう言うと、アイたち歌手が立っているステージがスポットライトに照らされる。人々の歓声が集まり、アイの胸の鼓動は高鳴っていく。

司会者が話題を振り、Fステに終演する歌手たちはその質問に答える。その後、一番目に歌う歌手を残してアイたちはステージから降りた。

アイは歌手たちをチラリと見た。大物演歌歌手やバンドマンなど様々な歌手たちが集まっている。その中にアイは初音を見つけた。彼女は高校生でありながらシンガーソングライターとして活躍している。

「初音ちゃん」