好き勝手に書かれていく言葉たちにアイの手が震える。その時、初音ミクのSNSが更新された。

『ファンの皆さん、今までありがとうございました』

その一言に、アイは彼女が何をしようとしているのかすぐにわかった。スマホを握り締めたまま家を飛び出す。

初音の心を救うために。



アイはほとんどSNSの投稿はしていなかったものの、初音の投稿はよく見ていた。なので初音がよく行く場所なども知っている。心が落ち込んだ時に行くのだと投稿された海へと向かう。

初音は真っ白なワンピースを着て海に入っているところだった。その悲しげな横顔にアイの胸が苦しくなる。息を吸い込み、叫んでいた。

「初音ちゃん！」

アイの大声に初音はびくりと肩を震わせる。海に入る足が止まった。アイは海に入り、初音の体を抱き締める。

「間に合ってよかった……」

「何で来たのよ？私が死ぬことにあんたは関係ないじゃん。むしろラッキーでしょ？ライバルが一人減るんだからーーー」

「やめてよ！！そんなこと言うの！！」