「マジかよ橋本!?」
「橋本ってバスケ部の?」
「そういや夕海、同じクラスだったよね?」
話をした直後、海斗以外の三人は何故か興奮気味に口を開き、浜辺には次々と声が飛び交った。
「てか、夕海橋本と仲良かったっけ?」
「まぁあいつ結構背高いし、イケメンっちゃーイケメンの枠だよな」
「…んー、そうか?」
「わりとイケメンだと思うよ?バスケ部でも人気あるみたいだし」
当人である私をそっちのけで、弾む会話。
だけど…次の瞬間。
「誘われたから一緒に行く?そんなもん、断れよバカ」
冷たく低い海斗の声が、盛り上がるみんなの会話をぴたりと止めた。
私の視線は、自然と隣にいる海斗の方に向いた。
すると目が合った途端、何故か呆れたようにため息を吐かれ、おまけにじろっと睨むような目つきを見せてきた海斗に、私はたまらず口を開いた。
「何でバカとか言われなきゃなんないの?海斗だって誘われてるんでしょ?森田さんに」
自分だって誘われてるくせに。
どうして私だけバカなんて。
断れって、なんでそんなこと…海斗に命令されなきゃいけないの?
そう思いながら、私も海斗を睨みつけた。
「海斗も森田さんに誘われたから今年は森田さんと夏祭りに行くんでしょ?」
「は?てか、何でおまえがその話知ってんだよ」
「何でって…別に何でもよくない?話逸らさないでよ」
強い口調でそう言うと、海斗は面倒くさそうにはぁっと息を吐いて。
「勝手に決めんなよ」と、珍しく真面目な顔で私を見つめたかと思ったら…ジッと目を合わせたまま、言ったんだ。
「森田には断るから、おまえも橋本に断れ」
真剣な声で、私にそう言った。