それから二、三日。
私は一人でひたすら考えた。

海斗もあの森田さんに誘われたくらいだから、きっと今年は二人で行くんだろうとか。
森田さんのこと、可愛いって言ってたもんな。
だとしたら、誘われて嬉しかったんだろうな。
断る理由なんてないよね。
ずっと毎年夏祭りは五人揃って一緒だったのに。
とうとう、そうじゃなくなるんだろうな…って。


そんなことばかりを考えていると、幼なじみという関係や友達としての距離感が初めて煩わしく感じられた。

そばにいるのに、一向に変わらない、縮まらない関係。
惹かれていると気付いているのに、みんなと同じ距離を保ったまま、続いてきた関係。

大切だったからこそ、変わってしまうことが怖かった。
私が気持ちを口にしてしまうことで、海斗だけじゃなくみんなとの関係までもが壊れてしまうかもしれないと思うと、やっぱりその関係は…守りたかった。


だから、これをきっかけに踏み出してみようって。
他の誰かを見てみれば、海斗に向いている気持ちにだって変化が生まれるかもしれないし、ひょっとしたら…そもそもこの好きは異性として好きとかそういう気持ちじゃなくて。

大切な幼なじみを取られてしまうという友達としての嫉妬かもしれないし…と、無理矢理納得した私は、この浜辺に五人が揃ったタイミングで橋本から夏祭りに誘われた話をした。


「だから今年は、せっかく誘ってくれたし…橋本と行こうかなって」


そして橋本に返事をするよりも先に、みんなにそのことを伝えた。

海斗だけではなく、詩織と駿と陽ちゃんが一緒にいる時を選んだのは、みんなで一緒にいれば普段通りの自分でいられると思ったから。

へぇーって。そっか、って。
海斗にそう言われたとしても、悲しい表情を見せずに済むって…思っていたからだ。