店内の冷凍庫から子供たち用のアイスも人数分選んで会計を済ませると、外まで見送ってくれたアキラじいちゃんに手を振って歩いてきた道をまた戻った。


「しっかし夜になってもまだ暑いな」
「そうだね」


陽ちゃんのお父さんの運送会社までの間にひとつだけある信号。
普段は夜になればひと気も少なく赤信号でもさっと渡ってしまえるような場所だけど、今夜は夏祭りがあったせいで車も人もまだ多く見られた。


「でも、なんか懐かしいよな。この光景が」
「うん…懐かしい」
「こんな日が戻ってくるなんて、なんか…うまく言えないけど、嬉しいよ、俺は」


赤信号で立ち止まっていた私たちは、そんな話をしながら行き交う車をぼんやりと見つめていた。

嬉しい。確かにそう思う。
賑やかな町を笑顔で行き交う人たちの姿を見て、本当に心からそう思う。

でも、ここに海斗がいたら。
海斗も一緒にいてくれたら。今日という日が、どれほど嬉しかっただろう。

一緒に見たかった。
一緒にいたかった。

目に映る景色全てを一緒に…感じたかった。