三人を露店の裏手に残し、再び一人でかき氷屋の店先に行った。

すると、先ほどのことを目の前で見ていたらしい店主のおじさんが、イチゴ味のかき氷を頼んだ直後、突然私に声をかけてきた。

「さっきの男の子、そんなに友達に似てたの?」

いきなりそんなことを聞かれ、一瞬戸惑った。
だけど見ず知らずの人だからこそ、言葉を返せたのかもしれない。


「…はい。ものすごく、本当に…似てました」
「そっか。世の中にはそっくりな人間が三人いるっていうもんね。ましてや震災で行方不明のままの大切な友達にそっくりだったなら、さっきみたいに突拍子のない行動をとってしまうのも無理はないよ」
「いえ、あの、さっきはお店の前でお騒がせしてしまって…すみませんでした」
「全然!なーんも気にしないでいいよ」


そんな話をしながらあっという間にかき氷を作ってくれたおじさんは、お金を払おうとした私の手を制止するように抑え、優しく言う。


「これは、おっちゃんからの復興サービス。来年も、元気だったら店出すから。その時は、また買いに来て」
「や、そんな…」
「いいからいいから。元気出して、またね」


おじさんはそう言うと、私の後ろに並んでいたお客さんに注文を聞き始め、どうしていいかわからないままの私は露店のそばでその様子を黙って見ていた。

するとそんな私に気付いたおじさんは、ヒラヒラと大きく手を振りながら早く行きなさいと言わんばかりに立ち去るようにと合図してくる。


「ありがとうございます」


深々と頭を下げ、お礼を言った。
おじさんは、私のことなんて知らない。
海斗のことだって、何も知らない人だ。

それなのに癒えぬ胸の痛みを汲み取るように優しくしてくれたことに、切なく痛かったはずの胸がじんわりと温かくなった気がした。