悲しいのは、私だけじゃない。
もういない、死んだ、と言った駿だって悲しくないわけない。

肩を濡らした駿の涙に触れると、行き場のない感情が胸いっぱいに広がった。
でも、どうしても認めたくない。
絶対…諦められない。


「死んでないよ…っ…」


会えなくなっても、ずっと信じてきた。
時の経過と共に、次第に受け止めようと変わっていく周囲を見ていても。
海斗はもう帰ってこないと、諦めていく人たちが増えていく中でも。

海斗はきっと、どこかで生きている。

そしていつか、ふらっと戻ってきてくれるような気がして。
ずっと待ってたんだ。
あの夏から、ずっと。三年前から、今日までずっと。

受け止めることなんてできなくて。
もういないなんて、どうしてもそうは思えなくて。

海斗が死んだなんて…私以外の誰もがそう受け入れたとしても、最後の一人になっても、海斗はどこかで生きている。

私はそう、信じていたかったんだ。