「ちひろちゃんの子だよ?望まない妊娠だったけど、子どもに罪はないから」


「罪はない?よくそんな事言えますね。私がどれだけ辛いか分かる?簡単に決められるものでもないし、人に決められることでもない。出てって」



急に扉を開けたかと思うと、僕の体を力ずくで押し、よろけてしまうほどの風の勢いで扉を閉められた。




「ごめんなさい篤見さん…。娘があんなことを。本当にごめんなさい」


「いや、謝らないでください。謝るのは僕の方です。すみません、仕事行きますね」




思っていた以上に、ちひろちゃんの言葉にショックを受けていたみたいで、仕事が始まっても力が入らず頭の中はスッカラカン。


ため息ばかりで、何の仕事にも集中できない。