「大丈夫、もう怖くないからね」




声を上げて泣きながら、女性の警察官に保護されたちひろちゃん。


全身を毛布で覆われ、目は涙で真っ赤。体は恐怖で震えている。




「あの子…似てる」




監禁されていた小さくて暗い部屋から、ちひろちゃんが救出されていく姿を見て、昔の出来事がフラッシュバックした。




病室のベッドの端で座り込むように項垂れている少女を、入り口で呆然と立ち尽くして見ている僕。



大きく深い苦しみから、少女を救い出せなかった後悔と自分への恨み。


できれば思い出したくない記憶ではあるけれど、ちひろちゃんと少女の状況がほぼ同じで、僕はまた同じことを繰り返してしまうかもしれないと、急に足が震え出して立っていられなくなった。