「退院してどこに帰るとかは」


「そういうのは、わざわざ聞かないんですよ。自宅じゃないですかね?」





自宅…。自宅の住所は確か、取調べの資料に載っていたはず。


たった今怒られたところなのに、同じように走って警察署に戻った。



妊娠していると伝えられて、どういう気持ちだったか。


信頼してくれていた僕にも知らされず、主治医から突然聞かされた時、相手が誰かはすぐに分かったはず。

その時の恐怖は、簡単に想像できるはずもない。



そして、葛藤もあったと思う。




赤ちゃんに罪はないからこそ、育てるのか中絶するのかは苦渋の決断になる。