「全く同じです…。カーテンの方から甘いにおいがして、すごく幸せな気分になったんです。でもすぐに、あの人に襲われてた時の光景が鮮明に頭に浮かんで。恥ずかしい、気持ち悪い、消えたい。って思ってから、何も覚えてない」


「そっか…。よく話してくれたね。話すの嫌じゃなかった?」


「いえ。刑事さんも話してくれたから。…助けてくださって、ありがとうございました」




話して良かった。自分の悔やみも、これで無くなったわけではないけど、これ以上傷が膿むことはない。


いつの間にか体の倦怠感も治まり、1日がもう終わろうとしている。


カーテンからの甘いにおいも消えたみたいで、ちひろちゃんがこのにおいに吸い寄せられることはないと思う。