咄嗟に体が動いて、ちひろちゃんが力強く握っている手から、カーテンを引き剥がそうとした。


帰りかけていた主治医や看護師、他について来ていた刑事たちも、何事かと小走りで戻ってくるのが見える。



でも今はそっちに気を取られている場合ではない。


ちひろちゃんを救わないと。

でも、ちひろちゃんの手は決意が固く、全然離れない。




「離して!邪魔しないでよ!」




病室が突然騒がしくなって駆けつけた主治医が、看護師に精神安定剤を持ってくるよう指示しているのが聞こえてきた。


そういうことじゃないんだ。

その場しのぎの処置では、また同じことが繰り返される。