答えがなかったので、警戒しないようにゆっくりと1歩中に入ると、自分の心を必死でコントロールしようとしているのか、自分の体全身を守るようにベッドの上で更に丸くなって、曲げた足を腕で強く覆っている。




「僕のこと、怖いよね。何もしない。近くに居るだけだからね」




ベッドの脇に纏めて置いてあった椅子を1つ取り出して、足元の少し離れた場所に置いて座った。





会話はなく、背中を向けるちひろちゃんの傍に座っているだけ。


時々鼻を啜る音が聞こえるけど、泣いているわけではなさそうだし、何を考えているのか分からないから、話の切り出し方に困る。




何かを考えていても、女の子は特に理解できないもの。


傍に居ることしかできないけど、それで少しずつでも僕が危険ではない人だと分かってくれたら、それで良い。