「篤見も帰るぞ。今日はビールだな…」


「僕ちょっと寄るところがあるんで。お疲れ様です」





何もなければ、他の日勤者と変わらず帰りたかったけど、1日のご褒美の祝杯に、ビールが飲めるのを楽しそうに想像する班長を無視してまでも、どうしても寄りたいところがあった。




病室の入り口に、入室禁止と張り紙がされている扉を3回叩くと、僕の部下である女性の警察官が、顔だけを廊下に覗かせる。




「あ、篤見さん。様子見ですか?」




保護した時からずっと見てくれていて、落ち着いて病室で過ごせるように、もう1人の警察官と交代でちひろちゃんの隣に居てくれるらしい。




「保護した女の子はどんな感じ?話せそう?」


「何も話してくれなくて。ただ見守ってるだけです。良かったら入りますか?」