「声をかけてみようよ!」

「もしもだよ?リレーの練習に付き合って欲しいって言ったらさ、高野くんは優しから、嫌でもイエスって言っちゃうと思うんだ」

「そうかな?バレンタインのチョコや誕生日プレゼント、お休みの日の誘いだってきっぱり断ってると思うよ」

「確かに…」

多絵に諦めてもらおうと理由をつけてみたけれど、あっさり跳ね返された。女の子から誘われているシーンをよく見るが、上手くかわしている。何度か誘われていたが、誘いに乗ったところを見たことがないし。


「だから面倒だと思ったら、断ってくるよ。高野くんがダメだったら仕方ないし、誘ってみるのはありだと思うけどな。私も高野くんと仲良くなりたいし!」


明るく多絵に言われると、上手くいくような気がしてくる。始業式の日、居心地が悪くてどうしようもなかった私に話しかけてくれた彼のことを、もっと知りたい。

そして彼のために私ができることを見つけたいのだ。

与えてもらうばかりでは友情は成立しないと思うから。