「さすがの私も気を付けて行くから、大丈夫だよ。ちゃんと手すりに掴まりながら下りてるし」

この間はほぼ無傷で済んだけれど、神様だって2回目は呆れて助けてくれないかもしれないしね。私だって慎重になっている。


「…行くなら、俺も行く」

「行くって、新年の参拝にすら行ったことないのに?」


心配しすぎだよ。
小さい頃から一緒にいるけど、私だってもう中学生だ。

「別にいいだろ。雪菜に友達ができたこと、俺も一緒に礼を言ってやるよ」

「そ?ありがとう」

一緒に来てくれるというのは嬉しいけど、礼司は神頼みをするようなキャラじゃないんだよね。なんだかんだ言って、影で努力して成功させてるし。

あの日、階段から落ちたことが衝撃的で何を祈ったかは忘れてしまったけれど、私はいつも誰かに頼ってばかりだ。

両親に、礼司に、高野くんに。


「さっさと行くぞ」

「あ、待って!」

長い足で先を急ぐ礼司を追いかけた。