体育祭でもそうだけど、スポーツが苦手な生徒は居心地が悪くて、ミスをすれば無言で責められているような気持ちになる。

でも高野くんのチームは一生懸命だけど和やかな空気が漂い、気負うことなく、みんながプレーできているように見えた。

高野くんの言葉が、行動が、雰囲気が、周囲に良い影響を与えていることは、よく知らない私から見ても感じとることができた。


スポーツ大会までは違うクラスの高野くんのことはよく知らなかったけれどその日、初めてカッコいい人だって思った。

みんなの憧れは、私にとっての憧れになった。


そしてクラス替えでこんな私に話しかけてくれる優しい人だ。


「高野くんと同じクラスなんてラッキーだよね」

「ラッキーだね」


多絵の言葉に心から同意した。