翌朝、
よく見る夢のせいではなく昨日の放課後が刺激的であったせいか眠りが浅く、早くに目が覚めてしまった。

二度寝する気になれず制服に着替えて、近所の神社に向かった。

3年前に亡くなったおばあちゃんに幼い頃からよく連れて来てもらった思い出の場所だ。

此処(ここ)にくればおばあちゃんに会えるような気がしている。もちろん会話ができるわけではないけれど、見守られているような温かい空気を感じるのだ。


灯里(あかり)神社。

どんな願いも叶えられるという言い伝えがあり、年始年末だけでなく年に数回行われているお祭りの時期が特に(にぎ)やう。

人が集まれば商店街の人通りが多くなり、灯里(あかり)神社はこの街のシンボルだ。


「おばあちゃん、おはよう」

階段を上り、本殿の賽銭箱(さいせんばこ)の前で手を合わせる。


「神様、礼司と同じクラスにしてくれてありがとう」

春休みの最終日、クラス替えについてお願いした。そして見事に叶えてもらったのだ。