冷静ではいられないが、甘いじゃがいもの味はしっかりと感じられた。

「美味しい?」

「うん」

口元から離れたコロッケを目で追うと、今度は高野くんの唇が私の(かじ)った跡と接触する。

コロッケを食べた後、形のいい唇の端を舌で舐める動作が妙に色っぽい。


「ん、美味しい」

平然と、何事もなかったかのように。

普通だ…。


「ありがとう。本当に美味しかったよ」

動揺を隠して、なんとかお礼を言う。


「どういたしまして」


きっと女友達にも同じようにしてるんだろうね。
高野くんは分け隔てなく私にもそうしてくれただけだ。