「ありがとう。図書室、行くね!」

「オッケー」


私にとって放課後の約束は、一大イベントだけれど高野くんにとっては普通のことだから軽めの返事。

反対にこちらの心臓の鼓動は少し早い気がする。


「高野、助けて!クリアできない!」

平田くんが嘆くと、高野くんは口の端を上げて笑った。

いつものクールで爽やかな表情も魅力的だけれど、意地悪く笑う顔も素敵だ。


「またゲーム?」

「助けてくれよ」

高野くんは私に笑いかけてから、平田くんの元へ向かった。

残された私は小さく息を吐く。

緊張したし、それに笑顔は反則だよ…。
だってずっと見ていたくなるからさ。