「だから、今日の放課後でもいいよ」

「え?」

「放課後はだいたい図書室にいるんだ。気が向いたら来てよ」

「…行ってもいいの?」

「うん」


入学式というスタート地点に立ち、中学生活に胸躍らせていた中で、答辞を読み上げる自信に満ちた彼の立ち振る舞いは私の心に深く刻まれた。

こんなに凄い人がいる。

私も頑張ろう、そう勇気をもらえた。


その後、やっぱり上手くいかなくて空回りして友達はできなかったし、成績も上がらなかったけど、あの瞬間の心の震えを今でも覚えている。

確かに私は変わろうとしていた。


そしてあの時と同じように、
今日もまた高野くんは私の背中を押してくれた。