ドーナツショップは親子連れよりも友達同士が目立った。ドーナツを半分こして食べる仲の良さそうなカップルもいれば、女子同士で盛り上がっている席もある。

うん、どっちも羨ましい。


「いいじゃん、おまえらしく行けば。自分を作る必要はないだろう?」


礼司は得意だもんね。いつも恐れもせずにありのままをさらけ出している。わしにとってはすごく勇気がいることだ。


「それが難しいんだよ。友達って気遣(きづか)い合うものでしょ?」

「気遣いと(いつわ)ることは違うだろ?」

なんか礼司のくせに偉そうだ。
でもゲームから顔を上げて私の話を聞いてくれるところは好きだ。

相変わらず、寝癖は残っているけど。


「俺といる時と同じようにしとけばいいんだよ」

「礼司といる時…」