駆け付けてくれた両親、陽太と礼司がひどく心配してくれたけれど、予想通り私の身体は異常ひとつなかった。

先生は念のため入院したほうがいいと説得してくれたけど、帰りたいと拒み、根負けした先生から帰宅が許された。

「お母さん、私、2人と話があるの」

「え?ダメよ。今日は真っ直ぐ帰りなさいよ」

「どうしても今日、話しておきたいの」


仕事中に飛んできてくれた両親には申し訳ないけど、このまま家に帰っても眠れないまま朝を迎えるだけだ。

陽太は心配そうに私を見ていたけれど、礼司は一歩前に踏み出した。


「俺が、責任を持って送っていきますのでお願いします」

「まぁ…礼司くんが、そう言うのなら…」

我が家族からの礼司への信頼は絶大だ。


「30分だけよ。お母さんたち、先に帰るね」

「ありがとう!」

お父さんはなにも言わずに、礼司の肩を叩いて病室を出て行く。お母さんは最後まで心配そうに、ゆっくりと帰って行った。