ーー光が消えた後、

ふらふらと立ち上がった私は

ぼんやりとした頭で、
まだピントの合わない目で、

石段を下りてーーそこから転落した。


陽太との記憶は、なくなっていた。





しかし、今ーー全てを、思い出した。

ゆっくりと目を開ける。


「雪菜!」

「大丈夫か!」


見慣れない白い天井を見知った2つの顔が遮る。


礼司と、そして陽太…。

良かった、陽太が生きている…。

心配そうな2人を顔を見た途端(とたん)、涙が溢れて止まらなくなった。