仕事の忙しい両親に代わって、いつもおばあちゃんが傍にいてくれた。些細(ささい)な私の変化にもいち早く気付いてくれて、たくさん話を聞いてくれた。

植物園や水族館など数えきれない場所に連れて行ってくれたよね。


「雪菜にまた会えて嬉しかったよ」

「おばあちゃん!ずっとずっと、忘れないよ!」

「ありがとう、雪菜…元気でね…」


再び(まばゆ)い光に包まれる。

目を開けて見送りたかったのに、()えきれず閉じてしまった。


奇跡(きせき)が起これば、雪菜の記憶は戻るよ……」


腕の中の温もりがすっと消えたことが分かった。


おばあちゃん…、ありがとう。