これから先、私たちの道が交わらなくても、陽太が笑って生きられるのであればそれでいい。

私がいなくても陽太の周りにはいつも人が溢れてるから、なにも心配することはないよね。


「私は陽太のことを忘れてもいいから、どうか陽太を助けて!」

「……分かった。雪菜……辛い、選択をしたね」

「辛くないよ!全然、大丈夫!」

「そうか…雪菜の願いを、叶えよう」


キツネが私の胸に飛び込んできた。

もふもふとした柔らかい感触と、温かい体温を感じる。雨で冷えた身体が温まる。よく、おばあちゃんに抱きしめてもらったな…。


「ありがとう、おばあちゃん」

「元気でね、雪菜」

「え、もう行っちゃうの?」

この温もりを離したくない。