灯里(あかり)神社に着き、大股で階段を駆け上がる。雨で服が濡れて身体が重く、思うように動かなかった。

途中、足を滑らせそうになり、慌てて手すりを掴んで階段を上りきった。


陽太のためを想うなら、此処(ここ)しかないと思った。

社殿の前で両膝をつく。
痛いくらい両手をきつく結んだ。

「陽太のこと、助けてください!」


神様、おばあちゃん!どうかお願いします。

陽太の病気を治してください!


涙が止まらず、嗚咽(おえつ)が漏れる。
声に出して、泣いた。

涙が溢れて止めることはできないが、なんとか口を開く。


「陽太を助けて!代わりに、私の命を差し出しても構いません!!」

初めてできた大切な恋人を失いたくない一心から、そう叫んだ。

「陽太を助けて!!」


こんな大切な時に、陽太が苦しんでいる時に、
神に祈ることしかできやしない。

なんて無力だろう。
なんて役立たずだろう。

失いたくないよ…陽太とずっと、一緒にいたい…。

「お願い……おばあちゃん…助けて…」