明日から春休みなのに、そんなすぐに手術をしなければいけないほどに悪いんだ。

その後遺症で私のことをーー。


「大丈夫。陽太が思い出せなくても、私は覚えているから!陽太が思い出すまで、驚かないように毎日、初めましてって言うね。何度も何度も、何度も、自己紹介するよ!」

「……」


忘れてしまっても、また始めればいい。初めて会話をした日、緊張して上手く話せない私に陽太は笑いかけてくれた。

焦らなくていいから、って言ってくれた。

そう、焦らなくていいんだ。


「初めましてから、友達から、また始めよう」

「……ありがとう」


陽太は安心したように、少し口元を緩めた。


「手術、頑張ってね」

「うん」


私たちがどんな関係になったっていい。
陽太が生きてさえいてくれれば、なんでもいい。