雨に掻き消されないよう大きな声を出す。

「私はどんな陽太(ようた)も大好きだよ!」


雨の音がうるさい。
まつ毛にのった雫が邪魔で、視界が(かす)む。


「もう、俺は…ひとりになりたい」

弱々しくかろうじて届いた言葉に、薄ら笑いを浮かべる。

ひとりで決めてしまったんだね。


「分かった…でも、友達には戻れるよね」


この関係は断ち切りたくない。

もう一生、話せないとか無理だよ。彼女じゃなくたっていい、あなたの近くにいたい。


「友達か…戻れるかな…春休みに手術をするけれど、その後遺症のせいで俺は全てを、雪菜のことを忘れてしまうかもしれないんだ…」


この天候に少し感謝した。

目から流れた涙を、雨だと誤魔化せるから。