「気をつけろよ、おまえは昔から鈍臭いんだから」

「そうだっけ?」

同じことを思ったけれど、とぼける。


「小5の運動会のレリーで、()けてたじゃん」

「そんな恥ずかしいこと、まだ覚えてるの!?」

「他にも…」

「もう!いい!ドーナツを奢るから、黙って!」

「ラッキー!」


何個も出て来そうな私の失敗談。
礼司にはドジだとたくさん笑われて、たくさん助けられてきた。

私も覚えてるよ。
小5の時、私のせいでリレーがビリになったと責めてきた足の速い男子を突き飛ばして、言い返してくれたこと。

昔から礼司は私のヒーローで、大切な幼馴染だ。