多絵がくれた時間を無駄にしないためにも、急いでジャージから制服に着替えて中庭に向かう。

校舎と体育館を繋ぐ中庭で、高野くんはサッカーボールを蹴りながら待っていてくれた。


「高野くん、待たせてごめんね」

「ううん、ボールが落ちてたから遊んでた」


サッカーボールを足元に置くと、高野くんは笑った。

「本当にお疲れ様。A組をまとめてくれてありがとう」

「私はなにも…高野くんや、みんなに助けてもらって最後までやり遂げられたんだよ」

「リレーなんてやりたくないな、って思っている女子まで練習に参加してくれたのはさ…雪菜が頑張っている姿を見て、背中を押されたんだと思うよ。雪菜が実行委員だったから、クラス全員参加で頑張れたんだよ」

胸の奥が熱くなる。
頑張った分だけ、目に見えない"なにか"を得られたような気がした。

達成感でいっぱいだった。